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すずかけの木通信 H29年3月号

「妊娠中は、おなかの赤ちゃんにカルシウムをとられるから歯が悪くなる。」
この話聞いたことありますか?
これは間違いです。

妊娠中はつわりで思うように歯磨きができなかったり、唾液の量が減少したり間食が増えたりと
とてもむし歯になりやすい環境になります。
また、プラークが溜まり歯ぐきに炎症が起こりやすく、ホルモンバランスの変化などで
炎症は更に加速されます。妊娠中は歯周病になりやすく、進行もしやすいといえます。

歯周病にかかっている妊婦さんの場合 早産・低体重児出産のリスクが高まります。
しかし、妊娠後でもできるだけ早く歯周治療を開始することで、そのリスクを減らすことが可能です。

歯が生えていない乳児には、MS菌(むし歯を発生させる菌)は検出されません。これまでの様々な
研究で感染のリスクが常にある訳ではないことが
わかっており、生後19ヶ月から31ヶ月の間に初感染が集中し、この時期は『感染の窓』と呼ばれています。この時期は、ちょうど乳臼歯が生え出してから生え揃うまでの期間に相当し、この時期の乳児
そして母親をはじめとする家族の口腔ケアを注意し感染時期を遅延させるだけでもむし歯リスクが減少することが複数の研究により示されています。

始めましょう!マイナス1歳からのむし歯予防
(プライマリー・プライマリー・プリベンション)

妊娠中から母親に対して口腔衛生的介入を行うとMS菌が子どもの口腔内へ感染するのを予防あるいは遅延できるという研究結果が報告されています。
子どもの歯は乳歯だけでなく、永久歯も妊娠時からすでに形成され始めています。
必要な栄養素がとれていないと形成不全などの症状が現われることもあります。
バランスのよい食事を心がけましょう。

上の図は、当院の患者さんで、お子さんのみ受診しているグループと家族と一緒に受診している子どものグループの定期受診開始後のむし歯の発生率を比較したデータです。これを見てわかることは家族と一緒にメンテナンスを受けているお子さんのほうがむし歯発生率が少ないということです。むし歯菌の親子感染が減るのも一因ですが、見逃せないのがご家庭での予防意識の変化です。親御さんが一緒に実践することで、お子さんにも予防するのが当たり前という意識が生まれ、定着しやすいのではないかと考えられます。

妊娠中だけでなく、出産後もお子さんと一緒にメンテナンスを受けることをおすすめします。

>>すずかけの木通信 H29年3月号(PDF)
>>すずかけの木通信 H29年3月号(PPT)